第438号 事前に、バリデーション作業の妥当性を確認できる書類とは何か?
実施するバリデーション作業の妥当性を確認できる書類が欲しい
> 最近、製剤業界に関連するお客様から、「実施するバリデーション作業の妥当性を確認できる書類」とは何?と言った。お話を頂きます。
確かに、これから実施する作業が正しく実施できることを保証するわけですからなかなか難しい内容だと思います。
□ 製薬会社さんなどでは、バリデーションやキャリブレーション作業を実施させるには、要求される作業を作業員がキチンと実施できることを確認してから実施させなければなりません。
そのため事前に、作業の妥当性を保てるようキチンと作業できることが確認できる書類の提出要求があると考えます。
※ 当社では、バリデーション作業やキャリブレーション作業を実施する時に、どのようなことが確認できたらそれらの作業の客観性が保証できるのかという観点から必要な書類を提出しています。
当社は3種類の書類を提出することにしています
> 当社では、「整備された作業手順」「作業の資格」「標準器のトレーサビリティ」の3条件で第三者に対して作業の客観性を主張できると考えています。
従って、提出する書類は、①類似の作業手順書 ②資格者台帳 ③トレーサビリティ体系図と考えています。
他に、教育記録書や逸脱処理の仕方なども要求されることがありますが、都度、対応をしています。
次に、各々の資料の概要をご紹介します。
①類似の作業手順書
> 一般的に、バリデーションやキャリブレーションの作業手順は、設備の使用者が決められますので、それに見合った手順を提示する必要があると考えます。
(ここでは類似の手順書と記しています。)
【例:当社の作業手順書】
②作業の力量を担保する資格者台帳
> バリデーション、キャリブレーション作業を見よう見まねで実施することは可能だと思いますが、それでは、その作業の結果を担保することはできません。
作業の仕方、標準器の正しい取り扱い方など、一つ一つの作業を実施するだけの力量が必要なことは、容易に想像できることと思います。
当社では、社内規定で定められた項目に合格した社員のみが資格者台帳に登録されることになっています。
《定められた項目》
・教育キットによる校正作業手順の理解度を確認し、手順通りに出来ていること
・OJTによる実作業での校正手順の確認を行い、手順通りに出来ていること
・校正員の測定結果と比較・確認し、測定結果に妥当性があること
【例:当社の資格者登録台帳】
③作業に使用する標準器のトレーサビリティ
> 標準器を使用する作業者の力量がOKでも、作業に使用する計測機器が正しくなければ正しい作業は実施できません。
正しい計測機器であることはトレーサビリティが確立されていることを確認することで分かります。
【例:当社のトレーサビリティ体系図】
■ 当社では、これらの資料を事前提示することで、バリデーション、キャリブレーション作業の妥当性が担保できると考えます。
(但し、一部の資料は機密保持の契約など所定の手続きが必要になります。)
※ 当社は、フィールドでバリデーションを実施する立場から、規格の要求内容や定義を具体化(具現化)して、お客様に満足して頂ける作業をお届けする努力を続けています。
最後まで、お読みいただき有難うございました。