第448号 キャリブレーションの判定精度の決め方を知りたい
キャリブレーション実施時には、計測器が正しく動くことを判断しなければならない
設備や装置に付帯している計測器は、正しく動いていることを確認するひとつの手段としてキャリブレーションが実施されています。
この時、キャリブレーション結果から、計測器が正しく動いていることを判定基準と呼ばれる予め決めた数値を使って判断します。
□ この判定基準内であれば計測器は正しく動いていて、
間違いのない品質の製品を製造できることを保証する
ひとつの条件になるという重責を負っています。
従って、この判定基準をどの様に決めたらよいか悩まれ、お問合せになると考えられます。
※ 今回は、この判定基準の決め方の一例をご紹介したいと思います。
誤差伝播の法則を活用されることが多いと思います
判定基準を決定するためには、「誤差伝播の法則」という馴染みのない方法を使用することが多いと思います。
誤差伝播の法則は、判定精度に影響する計測器のすべての精度を計算して利用するものです。
□ 設備のタンクなどの液面レベルを測定する計装ループの一例で
誤差伝播の法則をご紹介します。
■ この法則を使うことで、このような計装ループでは、根拠を持った
判定精度が決定できると考えます。
誤差の要因を見逃さないよう注意!!
誤差伝搬の法則を使って、正しく判定基準を導き出すには見つけにくい誤差にも注意が必要です。
前項の設備(タンクなど)のレベルを制御・記録する計装ループの判定精度を誤差の要因を見逃した場合と含めた場合で計算してみます。
注)精度の値は実際の値ではありません。
このように、当然ですが、誤差要因を見逃したほうが判定精度が小さくなることが分ります。
計測器として認識できにくい「R:受信抵抗」を忘れてしまうと、判定精度を小さく見積もってしまいキャリブレーション作業時に判定精度外という逸脱の可能性が高くなってしまいます。
※ 例に挙げたような比較的簡単な計装ループであれば見逃すことも少ないと
思いますが、複雑にネットワーク化された計装もありますので注意が必要と考えます。
配線にも誤差がある場合があります
例えば、熱電対タイプの温度センサを使って温度を測定する場合では、誤差要因に「配線の補償導線」や「調節計の冷接点補償」による誤差を加味する必要があります。
下記は、設備のタンクなどの温度を測定する計装ループの一例です。
この例では、誤差の要因が補償導線と温度補償の誤差とふたつになるため判定基準が大きく違ってくることは容易に想像できると思います。
■ キャリブレーションなどでは、誤差の要因を見逃さないように、
計装ループ内の全ての計器の誤差を「誤差の伝播の法則」を使うことで、
根拠のある判定精度を決定することができると考えます。
※ 当社は、フィールドでバリデーション・キャリブレーションを実施する立場から、
規格の要求内容や定義を具体化(具現化)して、お客様に満足して頂ける作業を
お届けする努力を続けています。
最後まで、お読みいただき有難うございました。