第457号 医薬品の適正流通(GDP)ガイドラインとマッピングの実際
医薬品の適正流通(GDP)ガイドラインが昨年の12月28日に発出されました
ご存知のように、日本版GDPガイドラインに準拠して、公式にGDPガイドラインが平成30年12月28日に発出されました。
このガイドラインの第3章では「施設及び機器」について規定されていて、医薬品の適切な保管及び流通を保証することができるように、適切かつ十分な施設、設備及び機器を保有することが求められています。
□その中で、
物流倉庫(保管庫)における温度管理は流通プロセスにおける品質管理の観点から注目されるため温度管理として、保管庫の空間の温度分布を複数の温度記録計等を配置して一定期間の測定が行われます。
(これは、一般的に温度マッピングと呼ばれています)
■このようなことを聞くと、今使っている保管庫の温度分布はどうなっているのだろうか。と心配になってきます。
そこで、保管の温度分布がどんな感じなのか、温度マッピングの事例をご紹介したいと考えました。
保管庫の温度分布の実際
この例は、空調されていない保管庫で、原料などを保管するときに使用される場合が多いと思われます。
■温度マッピングの測定個所は〇印の上、中、下段と外気温度の28ヶ所を測定しました。
■温度マッピングの結果
この保管庫では
・測定個所の温度差は、最大で2.5℃になっています。
・外気温の影響は、数時間(約4h)遅れて庫内温度に変化が出ています。
従って
外気温度が極端な真夏・真冬には管理条件を逸脱する可能性もあるため、注意が必要と考えられます。
規格は適格性評価及びバリデーションを要求しています
このような例をみると
実際、使用している保管庫が思っているような状態になっているかどうかは温度マッピングを行わないと分からないと考えます。
□ GDPガイドラインでの要求では
3.6 適格性評価及びバリデーション
3.6.1
卸売販売業者は、正しい据付及び操作が行われることを保証するため、どのような主要機器の適格性評価及び/又は主要なプロセスのバリデーションが必要か否かを特定すること
適格性評価及び/又はバリデーション業務(例えば、保管、選別採集(ピッキング)包装プロセス及び輸送)の範囲と度合、リスクに応じて決定すること。
3.6.2
機器及びプロセスの使用開始前や重要な変更(例えば、修理又は保守等)があった場合には、それぞれ適格性評価及び/又はバリデーションを実施すること。
主要機器の一つである保管庫の使用前に、庫内の温度分布が要求仕様に対して適格であることを確認することになります。
このひとつの方法が温度マッピングの実施になります。
■当社においても、このような保管庫やトラックなどの輸送車両の温度マッピングのご依頼が増えてきています。
※当社は、フィールドでバリデーション・キャリブレーションを実施する立場から、規格の要求内容や定義を具体化(具現化)して、お客様に満足して頂ける作業をお届けする努力を続けています。
最後まで、お読みいただき有難うございました。