第460号 キャリブレーション(校正)時に誤差が判定精度内でも補正する?
キャリブレーション時に誤差が判定精度内であっても補正した方が良い?
> キャリブレーション(校正)では、誤差が判定精度内にあることを確認しますが、誤差が判定精度外(①の状態)になると、一般的には補正作業②が行われると思います。(下図)
そして、誤差が判定精度内(③の状態)であっても、補正②が行われることもあるようです。
※ まずは、この2つの補正作業を規格の定義面からみてみます。
キャリブレーション(校正)の定義には誤差を補正することを決めていない
> キャリブレーション(校正)の補正に関わりそうな定義を調べると
【GMP:バリデーション基準】
【JIS Z 8103】
■ このように、代表的な2つの規格の定義では、誤差を補正することに触れられていないことが分かります。
従って、誤差の補正については、使用者自らが決定することになり、この2つの考え方のどちらでも良いということになると考えます。
2つの補正方法のどちらが良いのかを考えてみます
> どちらも誤差を補正することには変わりがないが、実際にはいろいろ考えることが多いと考えます。
【判定精度を外れた時に考えられること】
当然、補正する作業が必要になりますが、誤差も大きくなることも予想され是正処置として、単なる調整を行う程度なのか、計器を交換しなければならないレベルなのか判断に迷いそうです。
この状況は、逸脱になりますので、発生した誤差が製品の品質にどれぐらい影響するのかも考慮して処置内容を考えることになると思います。
【判定精度を外れていないが補正する場合】
この場合、都度、補正をしていますので、大きな誤差が発生することは考えにくいと思われますので、是正処置内容に迷うことは少ないと思います。
しかし、都度、調整などの補正作業を行うためコストが発生することが気になるところです。
最終的には使用者の判断に委ねられる
> 今回、キャリブレーション(校正)の誤差補正の2つの方法について考えてきましたが、是正処置の面からは、判定精度内でも補正した方がよさそうですが、コスト面から考えると判定精度を外れた時に補正した方が良いような、曖昧な結論になったと思います。
他にも、保全上、誤差の推移で計器の劣化を判断している場合は、都度、補正したデータも加味した基準で判断をすることになると考えます。
■ 最終的には、今回のような条件を検討して、判定精度を外れたら補正するのか、判定精度内でも補正するのかは、計器の使用者の判断に委ねられると考えます。
※ 当社は、フィールドでバリデーション・キャリブレーションを実施する立場から、規格の要求内容や定義を具体化(具現化)して、お客様に満足して頂ける作業をお届けする努力を続けています。
最後まで、お読みいただき有難うございました。