第466号 設備・装置のバリデーションの要求の仕方は業種毎に違う [その2]
バリデーションの規格要求は業種ごとに違う[その2]
> 前回は、生活に身近な食品を製造する設備や装置にもバリデーションが要求されていることをお届けしました。
この食品業界でのバリデーションは、2020年のHACCP義務化もあって、もっと私たちの身近な?話題となってくることが考えられます。
■ 今回も、生活に身近な医療関連でのバリデーションについてご紹介します。
このバリデーションの要求規格は、GCTP省令と呼ばれる「再生医療等製品の製造管理及び品質管理の基準に関する省令」平成26年厚生労働省令第93号でニュースで話題になっているIPS細胞や病院での免疫療法などで使用される設備や装置がバリデーションの対象になっていると考えます。
因みに、GCTPは「Good Gene, Cellular,and Tissue-based Products Manufacturing Practice」の頭文字になります。
GCTP省令が要求しているバリデーションとは
> 平成26年8月に発布された厚生労働省令第93号のGCTP省令で
■ バリデーションは
と定義されています。
皆さんの中には、この定義を見て、良く似た規格を思い出された方も多いのではないでしょうか。その内容は少し先で取り上げるとします。
■ そして、この省令の質疑応答集(その2)の「Q1」には
そのAnswerには
と示されています。
この回答からも似た要求のあった規格を想像された方も多いと思います。
結局、バリデーション基準に準ずることが良いと考えられる
>> 皆さんが良く似たと思われた規格は平成25年8月に発布された医薬品・医薬部外品のGMP省令のバリデーション基準だと思います。
この基準で、バリデーションの目的として
とGCTP省令とほとんど同じ要求になっています。
この基準で、バリデーションの実施として
と適格性評価が求められていて、GCPT省令と同じような内容になっています。
このように、GCTP省令とバリデーション基準はほぼ同じ要求がされていることから、医療関連のバリデーションは、医薬品・医薬部外品の製造で実施されているやり方で良いと考えることが出来ます。
※具体的な方法例として、オートクレーブ(高圧蒸気滅菌器)の「PQ」例をご紹介します
滅菌缶に入れた不織布を滅菌する「PQ(性能適格性評価)」例です
> 実際に、オートクレーブ(高圧蒸気滅菌器)で不織布を滅菌する方法で効果的かつ再現性のある形で機能するかバリデーション(この例ではPQ)を実施して確認します。
□ 滅菌缶に約150×150mmの積層した不織布を入れ、オートクレーブに設置します。
□ 積層した不織布の中心付近には、温度センサを設置して、決められた方法で運転します。
□ 測定箇所は、各滅菌缶の中心とオートクレーブのセンサ付近を記録計+パソコンを使って測定します。
一例になりますが、バリデーションの実施方法をご紹介しました。
この方法は、医薬品・医薬部外品製造でのPQ(性能適格性評価)としても運用されているものです。
次回は、医薬品などの輸送・保管でのバリデーションの規格要求と実施方法をご紹介する予定です。
※ 当社は、フィールドでバリデーション・キャリブレーションを実施する立場から、規格の要求内容や定義を具体化(具現化)して、お客様に満足して頂ける作業をお届けする努力を続けています。
最後まで、お読みいただき有難うございました。
■ [その1]は、こちらでご覧いただけます。
https://www.validation-wa-nks.jp/wp/2019/0516_113013.php