第496号 キャリブレーションで数値が期待値から外れた場合に調整は実施するのか
キャリブレーションで数値が期待値から外れたら調整する?
> 多くの人は、キャリブレーションで誤差が発生したらどのような処置を行うかと問われると当たり前のように調整すると答えられると思います。
当然、次の生産のことを考えると調整して期待値内にしておく必要があります。
しかし、もし必ず調整を行うということであれば、「調整をする?」「調整をしない?」と言った疑問も生まれてこないと考えられます。
そこで、今回は、この調整について考えてみることにしました。
規格は、『調整をしてはいけない』と言っている
> 最初に、JIS規格はどのように定義しているか記します。
(原文をそのまま記載します。)
[新しいJIS]
[旧のJIS]
このように、JISにおいては、新しいJISでも旧のJISでも青字の様に「調整するな」と解釈できます。
■ このように考えると、本当に、調整して良いのかと疑問に思うところです。
キャリブレーションの現場では2つの考えが押し引きしている
> 実際の現場では、「調整する」という考えと「調整しない」という考えが、それぞれの立場や状況で押し引きしていると思われます。
確かに、どちらにも一理ありますので、妥協案を考えてみることにします。
何故、規格は『調整してはいけない』と言っているのか?
> 生産を行うには、設備や装置がキチンとなっていなければなりません。当たり前のことだと考えます。このことには、キャリブレーションによって数値が期待値より外れた場合に調整することも含まれると考えます。
では、何故、規格は調整してはいけないと定義するのか、ひとつの考え方としてですが、もし、キャリブレーションによって得られた数値が間違っていたらという心配をしていると考えられます。
■ 心配の根っこには
キャリブレーションに使った標準器の確かさ、測定システムの確かさ、測定環境の影響などキャリブレーションには多くの不確かさが存在するためではないでしょうか
※ このように考えた場合、キャリブレーションで得られた数値が「大丈夫ですよ」とまだ確認できていないから規格は調整するなと言っていると考えます。
「大丈夫ですよ」と言うにはどうしたら良いか!
> キャリブレーションで数値が期待値から外れた時の対処方法のひとつの案ですが、何をどのように確認するかなどの仕組みをつくり大丈夫であることを証明する方法もあると考えます。
【仕組みの一例です】
責任者がキャリブレーションで得られた数値が正しいかを確認します。
こうすることで、キャリブレーションで得られた値が大丈夫ですと言える証明になります。
■ この証明が成立していれば
期待値から外れた場合に調整しても良いということになります。
従って、ここまでくれば、設備・装置がキチンとなり生産が可能になると考えます。
※ 当社は、フィールドでバリデーション・キャリブレーションを実施する立場から、規格の要求内容や定義を具体化(具現化)して、お客様に満足して頂ける作業をお届けする努力を続けています。
最後まで、お読みいただき有難うございました。