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第497号 大型レトルト台車の測定ポイント数は9点で良いか

レトルト食品とは・・・、殺菌確認とは・・・

> 最初に、ご質問内容について考えてみたいと思います。

今回頂いたご質問は、レトルト食品を台車に載せて大型の圧力釜で滅菌する場合、滅菌条件を測定する場所が9ヶ所で良いかという内容と推測されます。

【レトルト食品とは】

食品衛生法によると、食品を気密性のある容器包装に入れ、密封した後、加圧加熱殺菌したものをいうと定義されています。

現在、市場に出回っているレトルト食品は、内容物をパウチ(袋)や容器に詰め、密封シールした後、食品衛生法で定められた、「中心温度120℃4分相当以上」の加熱処理を行っているようです。

【殺菌確認とは】

従って、レトルト食品の殺菌確認は、この要求「中心温度120℃4分相当以上」がキチンと実現されていることを確認することになります。

■ このレトルト食品の滅菌確認イメージは、
圧力釜にレトルト食品を入れて加熱したとき、レトルト食品の中心温度が4分以上120℃以上になっているかを確認するものとなります。

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レトルト食品の製造現場では大型の圧力釜で殺菌!

> 実際の食品製造の現場では、レトルト食品を大量に製造するため、大型の圧力釜を使って殺菌されています。

【大型の圧力釜の一例】

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殺菌方法は、台車にレトルト食品を何百個と大量に積んで、圧力釜の中に入れ殺菌を行います。

※ この殺菌方法の場合、
食品衛生法の定め通りに確認をしようとすると、台車に乗せたレトルト食品と同じ数の何百本の温度センサーを使って、レトルト食品の中央温度を測定しなければなれません。

しかし、このような測定がセンサの取付や取出しなどの難しさで実施が困難なことは容易に想像できるのではないでしょうか

何ヶ所測定したら、すべてのレトルト食品が殺菌されていると言えるのか

> 誰もが、何百個全てのレトルト食品の中心温度を測定して確認すれば良いと考えると思いますが、もっと少ない個所で全てのレトルト食品が殺菌されていることが確認できれば良いという思いがあることも事実だと思います。

【そんな時のひとつの考え方としては】

恒温槽などであれば、一般的には上面の4ヶ所+下面の4ヶ所+中央の1ヶ所=9ヶ所を測定されると思いますが、食品製造に関わる多くの人は、ご質問の様に9ヶ所測定だけでは不安だと思われる方が多いと感じます。

その理由は、外側にある製品の温度が上がりにくいと感じることからではないでしょうか。

■ ならば、その外側部分の測定ヶ所を増やすことで、安心できると考えますが如何でしょうか

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このように温度センサを各面に十字を切るように18ヶ所を追加するだけで、9ヶ所測定より、全てのレトルト食品の殺菌確認に近づくと考えます。

※ 妥協案にはなりますが、何百ヶ所に温度センサを設置することを考えれば現実的な方法のひとつと考えます。

当社も、食品業界の課題解決の提案を行っていきたいと考えています

> 食品製造における殺菌確認では、日々の製造個数の変動などの課題があると思われます。

例えば、台車に乗せるレトルト食品の数量が変わると殺菌の条件も変わる可能性があるため、どんな状況(数量変動、積載位置変動など)にも対応できる殺菌確認をしておく必要があります。

しかし、このような殺菌確認は、無限に近いパターンの測定を行うことになり、現実的には非常に困難と考えられます。

今回頂いたご質問は、このような課題にも波及する内容と考えられます。

■ このように、食品業界の殺菌確認には、まだまだ、多くの課題があるのも事実だと思いますので、当社も課題解決の提案を行っていきたいと考えます。

※ 当社は、フィールドでバリデーション・キャリブレーションを実施する立場から、規格の要求内容や定義を具体化(具現化)して、お客様に満足して頂ける作業をお届けする努力を続けています。

最後まで、お読みいただき有難うございました。