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第499号 既存の食品製造設備のバリデーションはどうしたら良いか

既存設備のバリデーションはどうしたら良いのか

> どのように回答したらよいかを考えるために、何故、このようなお問い合わせを頂くかを少し整理してみました。

■ 食品を製造する設備は、「新しく導入するもの」と「既に生産に使っている設備」に分かれる

【新しく導入する設備】

新しく導入する設備は、初めて生産に使うため、どのように使ったら品質が安定した製品が継続的に製造できるかが分からないため、設備の導入時にバリデーション(妥当性確認)等を行って、使用者の設備運転の仕方で品質が大丈夫か確認される
と思われます。

【既に生産に使っている設備:既存設備】

しかし、既に生産に使っている設備は、安定した品質で生産するために、どんな使い方をしたら良いか知っているので、今更、バリデーションを行う必要がないと思われていると考えられます。

※ 従って、バリデーションを実施しなければならないことは分かるが、既存の設備のバリデーションはどうしたら良いか分かりにくいため、今回のようなお問い合わせになったのではないかと考えます。

規格はバリデーションをどのように要求しているのか

> バリデーション(妥当性確認)は、規格ではどのように言われているか調べてみると

ISO22000では、次のように定義されています。

  画像1

■ この定義からバリデーションのタイミングを考えるには、「活動の前」という言葉をどのように考えるかが重要になると考えます。

例えば、活動の前を
①生産を行う前、
②製造設備を改造、改良して生産を行う前、
③管理手段及び管理手段の組合せを修正し変更して生産を行う前
と考察することができます。

※ もう少し、この「活動の前」を具体的に考えてみたいと思います。

既存設備はバリデーション(妥当性確認)を実施しなくても良い

> 「活動の前」のそれぞれの項目を生産時の状況に照らして具体的にすると

①「生産を行う前」は
⇒その設備を初めて使って、製品を製造する前

②「製造設備を改造、改良して生産を行う前」は
⇒製造方法などの見直しや新しい製造方法などの開発で製造設備を変更した場合

③「管理手段及び管理手段の組合せを修正し変更して生産を行う前」は
⇒生産方法の変更などで管理方法を変更した場合

■ このように考察すると、今まで生産してきた既存設備に何らかの変更を行わなければ、バリデーション(妥当性確認)は実施しなくても良いということと考えられます。

本当に、既存設備はバリデーション(妥当性確認)の必要がないでしょうか

> 多くの業界でバリデーションに携わってきた経験からみると、食品製造においても、今後食の安全を担保するためにバリデーションが必要になってくると思います。

ここからは、当社の考え方になりますが
既存の設備も一度はバリデーション(妥当性確認)を実施した方が良いと考えています。

【理由1】
ユーザや監査者等の第三者に対して、この設備は要求通りに動くことをドキュメント等でキチンと示すことができる

品質通りのものができているから大丈夫ということだけでは、偶然かもしれないという不安を払拭できないと思いますが如何でしょうか。
本当に安心できるのは、継続的に安定した品質の製品が製造できる設備であることを担保しておくことは重要なことと考えます。

【理由2】
最近の設備は、コンピュータ等が使われどんどんと性能が向上しています。実は、この何でもできそうなコンピュータが曲者で、キチンと使用しないと逆に機能が低下することがあります。

そのため、厚生労働省ではコンピュータを使った設備はバリデーションを実施することを要求し、一度もバリデーションを実施したことのない設備はバリデーションを実施しなさいと言っています。

⇒ このように考えると
既存設備も一度はバリデーション(妥当性確認)を実施しておくことが必要だと考えられます。

※ 当社は、フィールドでバリデーション・キャリブレーションを実施する立場から、規格の要求内容や定義を具体化(具現化)して、お客様に満足して頂ける作業をお届けする努力を続けています。

最後まで、お読みいただき有難うございました。