第505号 コンピュータ搭載の計器の定期キャリブレーション(校正)の考え方
「コンピュータ搭載計器のキャリブレーション」と「バリデーション(適格性評価)」
> コンピュータ搭載計器のキャリブレーションの話題に入る前に、関連するCSV(コンピュータ化システムバリデーション)について取り上げます。
■ ご存じのように、医薬品等の製造でコンピュータ化システムを使用する場合には、適正管理ガイドラインに沿って、CSV(コンピュータ化システムバリデーション)を実施しなければなりません。
(以下は)コンピュータを搭載した計器のCSVの一例になります。
※ このように、CSVでは設置された計器の機能が確認されていますので、コンピュータを搭載したキャリブレーションはこのCSVの内容も引き継いでいくことになります。
コンピーター搭載の計器に求められる定期キャリブレーション(校正)とは
> 製薬設備での校正は、GMP事例集で定義された方法で、キャリブレーション(校正)を実施する必要があります。
■ この定義では、具体的に触れられていませんが
キャリブレーション(校正)を実施した後は、校正の設定を無効にできないような保護を講じることも重要なことになります。
※ 実は、コンピュータを搭載した計器のキャリブレーションでは、この「校正の設定を無効にできないような保護」が課題になってきます。
コンピーター搭載計器のキャリブレーションでは「パラメータ」も重要!
> コンピュータを搭載した計器をキャリブレーション(校正)の視点でみると今までの計器と違いパラメータで設定された値で演算した指示値を校正しています。
従って、結果=指示値のため、このパラメータが変わってしまうと指示値が変わることになるのでパラメータが変わらないように保護処置が行われます。
■ キャリブレーション(校正)を実施するときには、このパラメータを変更しないとキャリブレーション(校正)が実施できないことがしばしば起こりますので、保護を外して、パラメータを変更することが必要になってきます。
※ つまり、CSVの連続性を維持するためにも、このパラメータがキャリブレーション前後で変わっていないこと(一致していること)を確認することが重要になってきます。
キャリブレーション前後のパラメータ一致確認方法例
> 記録計と指示計でキャリブレーション(校正)した時のパラメータ前後一致の確認方法例を記します。
【例:記録計】
記録計では、記録計の持つ印字機能を活用します。
▼キャリブレーション前後で印字されたパラメータが同じことを確認する
【指示計】
指示計の場合は、印字機能がないため、パラメータひとつひとつを目視で確認したり、メーカ毎の専用のツールを使用して確認します。
(ペーパレスの記録計もこの考え方になると考えます。)
※ 最近の計器は、指示を確認するだけではなく、上位のシステムとネットワークでつながったりしています。
そのため、パラメータの数も多く、キャリブレーション前後で変わっていないことを確認するために専用ツールを使うなどいろいろな工夫が必要になってきていると考えます。
キャリブレーション(校正)方法も進化が要求されている
> このように、コンピュータを搭載した計器のキャリブレーション(校正)の一案としては「定義にもとづいた校正」+「パラメータの一致確認」が必要と考えます。
今後も医薬品等製造に使用される計器類は、高機能化とされていくと考えられますので、それらをGMPが要求するキャリブレーション(校正)を実施するには現在の方法では満足できない状況が生まれてくると考えられます。
■ このようなテーマを取り上げたことで、キャリブレーション(校正)は計器の進歩に見合った最新な方法を考察し、実施しなければならないと再認識することになりました。
※ 当社は、フィールドでバリデーション・キャリブレーションを実施する立場から、規格の要求内容や定義を具体化(具現化)して、お客様に満足して頂ける作業をお届けする努力を続けています。
最後まで、お読みいただき有難うございました。