第508号 不織布や衣類をオートクレーブ(高圧蒸気滅菌器)で滅菌?
不織布や衣類などをオートクレーブ(高圧蒸気滅菌器)を使って滅菌したい
> 時節柄なのか医療機関の方からお問い合わせを頂きましたオートクレーブでの不織布や衣類の滅菌について、現場で装置・機器の適格性評価を専門に実施ている立場からお届けしたいと思います。
ここで取り上げますオートクレーブは、高圧蒸気滅菌器とも呼ばれ、高温高圧の飽和水蒸気により、滅菌処理する機能を持っている装置です。
▼少しだけ詳しい内容を当社のHPでもご紹介しています。
https://www.validation-wa-nks.jp/shien-jitsumu/mekkin-1.php
■ このメルマガで注意して頂きたいことがあります。
ここでの情報は、「不織布・衣類を滅菌する方法等」をご紹介するものではありません。
あくまでも、オートクレーブで不織布などを滅菌する時の装置の働きをご紹介するものです。
※ 今回は、不織布や衣類が空気を含むという特徴から必要となるオートクレーブの働きをデータなどでお伝えしたいと思います。
空気を含む不織布や衣類は滅菌温度まで上がりにくい
> ご存じのように、不織布や衣類は多孔性のため、空気を多く含んでいますので、衣類や不織布の内部まで温度が伝わるのに時間が掛かります。
■ 実際内部温度がどんな感じになるか当社の実験データをご紹介します。
①缶体壁面:オートクレーブ自体は缶体内面温度を測定する。
②滅菌物内温度:衣類に似たものとして積層した不織布を使い、その中央温度を測定する。
※ 結果は、空気を含んだ②の積層した不織布の内部温度は、①の缶体内面温度より、約40℃と思った以上に遅れて上昇してくることが分かりました。
従って、①の缶体壁面で設定された所定の時間では、不織布は滅菌できないことになります。
加圧/真空を繰り返すことで大きな効果がありました
> オートクレーブでの不織布や衣類の内部温度の遅れは、残留空気を真空脱気(プレバキューム)することで改善することが分かっています。
■ 実験したオートクレーブでも、加圧/真空を繰り返すことで、「不織布の内部」と「缶体内面」が同じ温度に近づいてくることが分かります。(参照:前項の温度計のグラフ)
□ 1回目の加圧/真空操作では、温度差が『43℃→4.4℃』と大幅に接近しました。
□ 2回目の加圧/真空操作で、温度差が『4.4℃→0.1℃』とほぼ同じ温度になりました。
※ この様に、加圧/真空して、蒸気の脈動を繰り返すことで、 不織布内部の空気が放出され、温度差が小さくなってくると考えられます。
▼ 詳細はこちらでご覧頂けます。
https://www.validation-wa-nks.jp/2011/0203_110000.php
衣類や不織布を滅菌するときはバリデーションが重要!
> 多くの規格要求でオートクレーブを使用する場合は、バリデーション(適格性評価)を実施しなければなりません。
■ オートクレーブを使って、衣類や不織布を滅菌する場合も、オートクレーブのバリデーションとして、DQ・IQ・OQ・PQの適格性評価とプロセスバリデーションなどを実施して、オートクレーブを安心して使えるようにすることが必要だと考えます。
※ 当社は、この様な実験の方法や測定データ等のノウハウで、どんな環境においても、お客様に満足して頂ける作業をお届けする努力を続けています。
最後まで、お読みいただき有難うございました。