第511号 フリーザー等に内蔵する温度計は校正点以外の温度は信頼できないか
フリーザー等の温度一点のみの校正では、他の温度は信頼できない?
> フリーザーや冷蔵庫を使用されているバイオテクノロジー関連の方からお問い合わせを頂きました。
□ フリーザーや冷蔵庫では、付帯する温度計を校正するために、保管物を移動させることが難しい場合が多くあります。
そのため、温度センサー付近に標準器を設置して校正されることがあるようです。
■ この方法では、装置を使用している温度の一点での校正になるため、フリーザーの温度設定を可変して使用した場合
⇒ 温度計に表示される温度は信頼できないのではないかというものです。
一点校正した場合、他の温度は保証できない(読み取ることができない)
> 一般的に、温度計を校正した時、測定値は理論値通りでは無く上下にバラツキますが理論値(赤線)付近に分布します。
■ しかし、一点校正した場合、理論値に近い値になるとは想定できるが、実際、測定値が①や②(緑破線)のように理論値から外れている可能性も否定できません。
⇒ 従って、一点を校正しただけでは推定値を見つけることができませんので、それ以外の温度を読み取ることができないということになります。
※ 即ち、信頼できる値を読み取ることができないということになります。
三点を校正をすると信頼できる温度が読み取れる!
> 信頼できる値を読み取るには、最低でも三点を校正して近似線を引くことで、校正点以外の温度の値を推定することが出来るという考え方です。
【三点を校正した場合】
■ このように、三点を校正して測定値の近似線を引くことで、校正範囲内であれば、知りたい温度の推定値を読み取ることができると考えます。
苦肉の策で・・・。
> どうしても保管物の温度変化が許されない場合や他の装置に移せない場合には「温度計の単体校正①」と「温度センサの確認」を行います。
□ この時、(図のように)1点のみ校正した測定値が単体校正に近似していれば、①の単体校正の近似線にのっているだろうという考え方になります。
■ このように苦肉の策として、校正値以外の温度を推定する時もあるかと思いますが、やはり、同じ機能の予備の装置を準備して、保管物を移し替えて、キチンと校正することが最も安心で確実な校正方法と考えます。
※ 当社は、フィールドでバリデーション・キャリブレーションを実施する立場から、規格の要求内容や定義を具体化(具現化)して、お客様に満足して頂ける作業をお届けする努力を続けています。
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