第537号 設備移設時のバリデーション(適格性評価)の考え方
既存の設備を移設する時のバリデーション(適格性評価)は?
> バリデーションを実施していない既存の設備・装置のバリデーション(適格性評価)を実施する必要がある。バリデーション済みの設備・装置を移設することになった。こんな時に、どのようなバリデーション(適格性評価)を実施したらよいか。
■ 確かに、新しい設備と同じバリデーション(適格性評価)を実施する必要があるのか考えてしまいます。
※ 今回は、このような状況の時に、どのように考えてバリデーション(適格性評価)を実施したらよいか考えてみます。
IQ(設備据付時適格性評価)の定義から考えてみます
> IQでは何をどのように実施するかはどうしても規格から考えることになりますので、少しお付き合いください。
GMPのバリデーション基準には、IQは次の様に定義されています。
■ このIQの定義は具体的に何を実施するのかを考えてみると
現場に据え付ける設備・装置が、製造メーカ等から求められる仕様通りに据え付けられていることを確認すると言うことになると考えます。
そして、この仕様書の中には、設備・装置自体に決められること、設備・装置がキチンと動くための条件が決められていることが多いと考えます。
設備移設時のバリデーションは「IQ」の中間から実施するのが良い
> ご存じのように、GMPのバリデーション基準の適格性評価では、DQ・IQ・OQ・PQを実施することが求められています。
この基準の要求は、新しく設備・装置を設置する場合に該当しますので、既存の設備で初めてバリデーションを実施する時、設備を移設する時ではどのように実施したら妥当なのか考えてしまいます。
■ そこで、新設時の予測的バリデーション、定期的な再バリデーションと今回のような移設時や既存設備の予測的バリデーションの実施範囲を図式化してみます。
※ 初めてバリデーションを実施する設備、移設する設備では、IQの途中から実施することにするため実施内容の棲み分けを考える必要があります。
どんな風に棲み分けすればよいか?
> 設備・装置のIQでは、2つの側面があると考えます。
■ 結論としては、設備・装置移設時では②の視点で必要となるIQを実施すること、既存設備で初めてバリデーションを実施する時、設備を移設する時にはIQの確認項目の全てを実施する必要はなく、②の視点で見た据付環境や供給電源などを確認すれは良いと言うことになります。
即ち、図式化の矢印のように、IQの途中から必要な部分を実施することになると考えます。
但し、IQの全てを実施するという選択肢を否定するものではありません。
※ 当社は、フィールドでバリデーション・キャリブレーションを実施する立場から、規格の要求内容や定義を具体化(具現化)して、お客様に満足して頂ける作業をお届けする努力を続けています。
最後まで、お読みいただき有難うございました。