バリデーション@エヌケイエス株式会社 NKS

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本年もよろしくお願いいたします。 第539号 お問い合わせの中で迷いが感じられる遠心分離器などのキャリブレーションとOQについて

遠心分離器のキャリブレーション・OQは何をどのように実施したらよいか?

> 当社へのお問い合わせの中には、遠心分離器のバリデーションについてのお問い合わせを頂くことがあります。

そのお問い合わせの中身は、他の装置と違って、キャリブレーションやOQ(運転時適格性評価)に関して、どう切り分けて考えたら良いか迷いが感じ取れます。

そこで、遠心分離器の適格性評価のキャリブレーションとOQの実施内容について、当社の現状をご紹介いたいと思います。

この迷いは遠心分離器の原理からくるものと考えられます

> 遠心分離器の「遠心分離」とは、遠心力を利用して比重差のあるものを分離することです。

例えば「水と油」のように比重差があれば自然沈降によって分離しますが、重力1Gのみの沈降になるため、比重の重いものが沈降するまでに時間がかかります。
しかしこれを回転させ遠心力を加えて遠心沈降させることにより、短時間で沈降・分離できます。

[原理図]遠心沈降
  

このように、遠心分離器は原液の入った容器を回転させることのみで、その機能(遠心沈降)を果たすことがてきることになります。

※ そのため、キャリブレーション・OQどちらも回転を確認することになってきますので、今実施しようとしていることはキャリブレーションなの?、OQなの?と迷うことになると考えられます。

キャリブレーションは回転計の表示を確認します

> 遠心分離器のキャリブレーションでの対象は、GMPのキャリブレーションの定義から考えると、回転のセンサーと①の回転計がつながった状態で、回転軸の②標準回転数とどれだけの差があるかを確認することになります。

□ 原理図では、標準回転計が1000rpm、遠心分離器に付属する回転計が1001rpmですので、+1rpmの差があると言うことになります。

OQ(運転時適格性評価)は回転動作を確認します

> 適格性評価のOQ(運転時適格性評価)は、GMPのバリデーションの定義の予期した運転範囲で意図したように作動することより遠心分離器の回転動作を確認することになります。

具体的には、まず遠心分離器の回転数③を設定し運転します。この状態で遠心分離器がキチンと運転しているかを遠心分離器の回転計①で確認します。

□ 原理図では、回転数の設定が1000rpmで回転軸は遠心分離器に付属する回転計の表示1001rpmでキチンと運転していることが確認できます。

迷いの原因は、いずれも回転という言葉で表す値を使っているからと考えられます

> 以上のように、遠心分離器のキャリブレーション・OQでは、目的の違った回転のデータを使うことになります。
  

こんな感じに、目的の違った回転という同じ言葉の値を使っていますので、キャリブレーションとOQで迷ってしまうことがあるのではないかと考えられます。

■ このようなことは、遠心分離器以外にも機能がひとつだけの装置で生じることになりますのでバリデーション時の参考にして頂ければと思います。

※ 当社は、フィールドでバリデーション・キャリブレーションを実施する立場から、規格の要求内容や定義を具体化(具現化)して、お客様に満足して頂ける作業をお届けする努力を続けています。

最後まで、お読みいただき有難うございました。