第597号 最新のGMP事例集(2022年)に2つの校正定義のある理由
GMP事例集の2022年版が発行されました
> 令和4年(2022年)4月28日に、厚生労働省医薬・生活衛生局よりGMP事例集(2022年版)が発行されました。
ご存知のように、このGMP省令は事前に、広く一般から意見を募るパブリックコメント制度で集められた質問に答えているものですから、現在の関連する現場での課題を現しているものと想定できます。
その中で、当社が注目するひとつは、校正の定義が2つあることです。
そこで、今回は、この2つの定義をご紹介し、意味するところを考えてみたいと思います。
GMP事例集は校正を二通りで定義しています
> ひとつ目の校正の定義はGMP2-6(計器の校正の定義)です。
> ふたつ目の校正の定義はGMP13-19(適格性評価)になります
※ このように、(青字の)2つの定義には似ているようですが少し違うところがあります。
次に、この違いを比較してご紹介します。
比較してみたら、2つの校正の定義の違うところがハッキリしました
> ふたつの校正の定義を分解して比較してみました
このように、この2つの定義ではNo.1・2は同じですが、No.3には大きな違いがあることが分かります。
※ 何故このような違いが生じるのでしようか。その理由を考えてみました。
二つの定義の違いは『校正対象』によるものと考えられます
>> GMP省令の要求内容とGMP事例集のQ&Aからその違いが生じる理由が分かります。
■ GMP2-6(計器の校正の定義)の計器とは何を指すのか
GMP省令の記載内容からは、次の3つの計器が対象になると考えられます。
①製造設備の製造に関する計器
②試験検査に関する設備の計器
③製造工程(保管を含む。)に係る計器
⇒全ての製造工程に使用されている計器と試験検査に関する設備の計器と工場で使用する計器全体が校正の対象になると考えます。
■ 一方、GMP13-19(適格性評価)の計器とは何を指すのでしょうか
適格性評価の中で定義されていることから、運転時適格性評価(Operational Qualification:OQ)、性能適格性評価(Performance Qualification:PQ)等のSOP(標準業務手順書)に指定される計器と考えます。
※ 従って
「製造管理及び品質管理に使用する計器」と「バリデーション時に使用される計器」と分けたことで、この2つの定義に少し違いが生じたと考えられます。
▼ GMP事例集の現場での使い方は、コチラからご相談していただくこともできます。
※ 当社は、フィールドでバリデーション・キャリブレーションを実施する立場から、規格の要求内容や定義を具体化(具現化)して、お客様に満足して頂ける作業をお届けする努力を続けています。
最後まで、お読みいただき有難うございました。