第608号 温度センサの時定数による測定への影響について
温度センサによって測定にどのような影響がある?
> 前回のメルマガでは、温度センサの種類による時定数を実際に測定してお届けしました。
■ この時定数の違いが、実際の測定でどのような違いが出るのか知りたいというお話をいただきましたので、同じ温度センサを使って実際の装置で実験しました。
※ 実験概要は、温度センサを冷蔵庫内に設置して、その温度変化を調べるものです。
冷蔵庫内の温度変化はセンサによって差がある
> 今回は以下の測温抵抗体の温度センサを用いて測定をおこないました。
センサの種別 | センサの仕様 | センサのイメージ (先端部) |
時定数 |
---|---|---|---|
①測温抵抗体 (Pt100Ω) |
Φ3.2mm | 46 | |
②測温抵抗体 (Pt101Ω) |
Φ3.2mm +測定用メタル |
190 | |
③測温抵抗体 (Pt102Ω) |
フィルム型 | 9 | |
④測温抵抗体 (Pt103Ω) |
フィルム型 +測定用メタル |
395 | |
⑤測温抵抗体 (Pt104Ω) |
Φ4.8mm | 89 |
【測定の手順】
測定は以下の手順で実施しました。
- 冷蔵庫の庫内中央付近に温度計のセンサ部を設置する
- 庫内の温度安定後に1分おきに、2時間分の温度を記録・収集する
- 収集した温度から、応答性の異なる温度センサの温度データの違いを確認する
【測定のイメージ】
【結果とグラフ】
各センサにおいて、測定値は以下のようになりました。
※本ページでの結果は一例であり、結果は機種・レンジ等により異なります。
⇒この温度センサの実験データから次のことが分かります。
- □時定数が最も小さい「③のフィルムセンサ」「①のΦ3.2mmのセンサ」は温度の山が高くなり、谷も深くなった
- □時定数が最も大きい「④のフィルム型+測定用メタル」は山谷とも半分程度になった(山が低く谷も浅い)
※ このように、同じ場所の温度を測定していますが、収集したデータに相違がみられることが分かります。
温度センサは測定の目的に合ったものを選ぶ!
> このように、センサ部は色々の特性を持っていますのでどれを選んだら良いか迷うこともあると思います。
■ そんな時には、センサ部の特性になるこれらの実験データを参考にして
例えば
- □庫内の実際の温度の温度変化に近い結果を測定したい場合は、反応の早い(時定数が小さい)センサを選ぶ
今回の実験では「③のフィルムセンサ」か「①のΦ3.2mmのセンサ」を選べば良いと考えます。 - □測定の結果を平均値で求める場合はいずれのセンサを用いても良い(ほぼ同じ結果が得られる)
※ こんな感じに、皆さんの装置に要求している機能をキチンと確認できるものを最終的には選んでいただくことになると思います。
▼ 温度センサを選ぶ時の課題も、コチラからご相談していただくこともできます。
※ 当社は、この様な実験の方法や測定データ等のノウハウで、どんな環境においても、お客様に満足して頂ける作業をお届けする努力を続けています。
最後まで、お読みいただき有難うございました。