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第610号 改正GMP省令とDI(データインテグリティ)について

改正GMP省令ではDI(データインテグリティ)に関する要求が盛り込まれている

> 昨年(2021年)8月1日から施行された改正GMP省令(薬生監麻発0428第2号)には、DI(データインテグリティ)に関して下記の説明があります。

第8条第2項
(2)医薬品製品標準書及びGMP省令第8条第1項の手順書並びに同令第2章に規定する記録について、継続的に信頼性(いわゆるデータ・インテグリティ)を確保するため、同令第20条第2項各号の業務の方法に関する事項を文書により定めることを要するものであること。

第20条第2項関係
医薬品の製造業者等があらかじめ指定した者に行わせる医薬品製品標準書及びGMP省令第8条第1項の手順書並びに同令第2章に規定する記録の信頼性(いわるゆるデータ・インテグリティ)の確保に係る業務について規定するものであること。

このように、手順書や記録に関してデータ・インテグリティの要求があることで当社にもお問合せがあることが頷けます。

※ 改正GMP省令での要求に、どのように考えて対応したらよいのでしょうか

データ・インテグリティの対応ポイント

> ここでは、キャリブレーションや適格性評価作業や記録について、データ・インテグリティの要件である「ALCOA」の原則から対応のポイントを考えてみたいと思います。

ALCOA 対応のポイント
(1)A 帰属性 ⇒記録や作業は誰がやったか特定できること
(2)L 判読性 ⇒保存期間を通して人によって読取れて理解できること
(3)C 同時性 ⇒発生と同時に記録されること
(4)O 原本性 ⇒最初のデータであることが証明できること
(5)A 正確性 ⇒データが正しいと証明できること



※ ALCOA原則をもとに対応のポイントをシンプルに記載しましたので、ここから、もう少し具体的にしてみたいと思います。

それぞれの対応のポイントにおいて、具体的に何を決めるのか?

> ここでは、対応のポイントごとに「紙の記録」と「電子記録」で決めておくことの例を考えてみたいと思います。

対応のポイント 決めておくこと(一例)
紙の記録 電子記録
(1)A 帰属性
記録や作業は誰がやったか特定できること
作業者による署名、押印、日付の記入など ID/パスワードでのログイン
(2)L 判読性
保存期間を通して人によって読取れて理解できること
ボールペンの使用、記録の変更方法など オーディットトレイル(監査証跡)による変更履歴
(3)C 同時性
発生と同時に記録されること
日付などと共に記録することを規定する 自動保存
(4)O 原本性
最初のデータであることが証明できること
GMP記録 オーディットトレイル(監査証跡)の記録
(5)A 正確性
データが正しいと証明できること
天秤、pH計などプリントアウトを生成する機器の適格性評価、校正、保守 電子記録を生成、処理、維持、配布、アーカイブするコンピュータ化システムのバリデーション


これらが全てではありませんが、キャリブレーション、バリデーション実施時には、このようにことを定めることが必要だと考えられます。

しかし、DI(データインテグリティ)は新しい概念ではない!

> このように紹介してきましたが、DI(データインテグリティ)はけっして新しい概念ではないことに注意しなければなりません。

■ GLPやGMPでは、データ・インテグリティという用語は使用して来なかったが、これまでもデータの信頼性・一貫性・整合性を要求してきた。

※ つまり、実質として古くからデータ・インテグリティ要求は存在しており、いわば”常識“であるという認識しておく必要があると考えます。

▼ バリデーション(適格性評価)、キャリブレーションにおける改正GMP省令の課題も、コチラからご相談していただくこともできます。

※ 当社は、フィールドでバリデーション・キャリブレーションを実施する立場から、規格の要求内容や定義を具体化(具現化)して、お客様に満足して頂ける作業をお届けする努力を続けています。

最後まで、お読みいただき有難うございました。