第615号 適格性評価におけるIQ実施後のキャリブレーション(校正)の課題と対策
キャリブレーション(校正)は、IQ(据付時適格性評価)後に実施する!
> ご存知のように、医薬品を製造する設備導入時には、キャリブレーションを実施する必要があります。
■GMP省令でのキャリブレーション(校正)は以下のように要求されています。
・・・イ、以降の適格性評価では、適切に校正を行った計測器を用いることが求められる。
イ.据付時適格性評価(Installation Qualification:IQ)
←キャリブレーション(校正)の実施
ウ.運転時適格性評価(Operational Qualification:OQ)
エ.性能適格性評価(Performance Qualification:PQ)
⇒ 少し、分かりにくい表現ですが、
設備の作動確認をするOQ(運転時適格性評価)時には、OQに使用する設備に付帯している計測器はキャリブレーション(校正)が完了している必要があります。
※ このように規格要求を実現するには、IQ実施後にキャリブレーション(校正)を実施することになるのですが、そうすると、ちょっとした矛盾が発生します。
キャリブレーション(校正)実施の矛盾
> 導入設備の適格性評価では、IQ(据付時適格性評価)でキチンと各機器が据え付けられたことを確認します。
■しかし、IQ後に実施するキャリブレーション(校正)では、折角、確認が終わっている箇所を再度取り外すことになります。
⇒ これでは、IQの意味がなくなり、キャリブレーション(校正)の実施には、適格性の評価自体に大きな矛盾が生まれてしまいます。
※ 今回は、この課題を解決できそうなひとつの方法をご紹介します。
「作業前」の状態と「作業後」の確認結果を記録する『校正票』を使用!
> この校正票を使って、キャリブレーション(校正)の実施対象の計測器の作業前の状態と作業後が同じであったことを確認します。
■校正票は、最初に(作業前)、作業完了(作業後)時の状態が記録されています。
その記録が、作業員と責任者などで確認され、間違いなく初期の状態に戻っているか
確認されます。
即ち、キャリブレーション(校正)作業時にIQを乱した箇所を再度IQを実施するというイメージになります。
『校正票』でIQの結果を継続!
> キャリブレーション(校正)は、そのやり方にもよりますが、現場で据え付けられたままでは実施できないことが多々あります。
例えば、接続されている配線を外したり、計測機器の表示設定を変更しないといけない場合などです。
■もし、校正が終わってから、配線を間違って戻したり、表示設定をそのままにすれば校正には問題がなかったとしても、OQ(運転時適格性評価)が実施できないことになり、校正前の状態に確実に戻っていることが重要になってきます。
※ この校正票では、校正前の状態を記録し、校正後に校正前の状態になっていることを確認することでIQ(据付時適格性評価)の結果を継続させるという考え方になります。
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