第616号 治験薬製造設備のクオリフィケーション(適格性評価)について
治験薬GMPのクオリフィケーション要求
> 当社ではGMP省令に関わるお問い合わせを頂くことが多いですが、時折、治験薬の製造設備に関するお問い合わせを受けることがあります。
今回は、クオリフィケーションでどんなことをどの程度実施したら良いかと言う内容になりますのではじめに、小難しい規格の話になりますが、治験薬GMPをご紹介したいと思います。
■治験薬GMPは、平成20年7月9日に薬食発第0709002号として、治験薬の製造管理、品質管理等に関する基準として発布されています。
その中で、クオリフィケーションは以下のように記載されています。
4.9 この基準で「クオリフィケーション」とは、構造設備(例えば、設備・装置・機器・ユーティリティ等)について、計画・仕様・設計どおり適格であることを評価確認し、これを文書とすることをいう。
※ この記載内容では、実際、クオリフィケーションとして何を実施したら良いか分かりにくいため、もう少し、実務レベルの情報を調べてみました。
クオリフィケーションは4段階の評価を行う!
> 平成21年7月2日に発行された「治験薬の製造管理、品質管理等に関する基準(治験薬GMP)に関するQ&Aについて」にもう少し詳しく記載されています。
■(質問15)クオリフィケーションとしては、どのようなものが考えられるのか。
クオリフィケーションは、その状況により、
DQ(Design Qualification:設計時適格性評価)、
IQ(Installation Qualification:設備据付時適格性評価)、
の4段階に分けられるが、
治験薬の製造管理及び品質管理において、何をどの程度まで実施する必要があるかについては、当該治験薬の開発状況等から求められる品質及びデータの信頼性の程度に基づいて、治験薬を開発する者が、主体的にかつ適切に判断すべきものである。
※ このように、治験薬GMPのクオリフィケーションでは、DQ、IQ、OQ、PQの4段階を実施することになることが分かります。
治験薬GMPのクオリフィケーションはGMP省令とほぼ同じ?
> ここまで、チョットややこしい規格を調べてきましたが、治験薬GMPのクオリフィケーションは、当社が主に対応しているGMP省令のバリデーション指針として示される適格性評価(Qualification)とほぼ同じだということが分かりました。
DQ(Design Qualification:設計時適格性評価)、
IQ(Installation Qualification:設備据付時適格性評価)、
OQ(Operational Qualification:運転時適格性評価)、
PQ(Performance Qualification:性能適格性評価)
の4段階に分けられる
①適格性評価(Qualification)
ア.設計時適格性評価(Design Qualification:DQ)
イ.据付時適格性評価(Installation Qualification:IQ)
ウ.運転時適格性評価(Operational Qualification:OQ)
エ.性能適格性評価(Performance Qualification:PQ)
※ このように、「治験薬GMPのクオリフィケーション」と「GMP省令の適格性評価(Qualification)」は同じようなことを実施することになります。
GMP省令の適格性評価(Qualification)が使える!
> 治験薬GMPでは、クオリフィケーションをどのように実施したら良いか記載されていませんのでそのままではご質問にお応えすることができません。
■しかし、「治験薬GMPのクオリフィケーション」は、「GMP省令の適格性評価(Qualification)」と同じようなことを実施することが分かりましたので GMP省令の要求を活用して、治験薬GMPのクオリフィケーションで実施する内容を導き出すことができると考えます。
このような考え方で、クオリフィケーションでの実施内容を導き出すことができると思います。
※ 実際のクオリフィケーションでは、導き出した実施内容から使用者が最適なものを決定することになると考えます。
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※ 当社は、フィールドでバリデーション・キャリブレーションを実施する立場から、規格の要求内容や定義を具体化(具現化)して、お客様に満足して頂ける作業をお届けする努力を続けています。
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