第626号 最新のGMP事例集における「校正とは何か?」の当社独自視点
GMP事例集での校正は、バリデーション指針の一部として回答されている
> GMP事例集(2022年版)には校正に関するQ&Aが紹介されています。
GMP13-19(適格性評価)
[問]バリデーション指針⑸①に「適切に校正を行った計測器を用いる」とあるが、校正とは何か。
[答]校正とは、必要とされる精度を考慮し、適切な標準器や標準試料等を用いて製造行為中に使用される計測器の表す値と真の値との関係を求めることをいう。適切な標準器や標準試料とは、いわゆる国家標準器又はこれにより校正された標準器、日本薬局方に規定された標準品、公定書又は製造販売承認(届出)書の規格に適合した標準品等を指している。
☞ このように、校正の定義として回答されていますが、このバリデーション指針⑸①の適格性評価(Qualification)ではどのように考えたらよいか分かりにくいというお話をお伺いすることがあります。
※ そこで、今回は、適格性評価での「適切に校正を行った計測器を用いる」について当社独自の視点をご紹介したいと思います。
「適切に校正を行った計測器を用いる」とは?
> GMP省令のバリデーション⑸①には、以下のように記載されています。
① 適格性評価(Qualification)新たに据え付け又は変更する設備、装置又はシステムについて、個別に又は適宜組み合わせて適格性を評価し、文書とする。通常、以下のア.からエ.までの適格性評価を順次段階的に行っていくことが基本となる。イ.以降の適格性評価では、適切に校正を行った計測器を用いることが求められる。
(補足)
ア.設計時適格性評価(Design Qualification:DQ)
イ.据付時適格性評価(Inst a llation Qualification:IQ)
ウ.運転時適格性評価(Operational Qualification:OQ)
エ.性能適格性評価(Performance Qualification:PQ)
☞ 即ち、イ.~エ.まで の適格性評価を順次段階的に実施する際には、「適切に校正を行った計測器を用いること」が求められるということになります。
※ 次に、イ.~エ.までの適格性評価でどんな計測器を校正する必要があるのかを考えてみます。
各段階毎で使用する計測器に違いがある
> どんな計測器を校正する必要があるかは、段階毎に使用する計測器(の違い)を明確にするとよく分かります。
■ 段階の定義から、段階毎に想定できる計測器の一例を取り上げてみます。
イ.据付時適格性評価
(Installation Qualification:IQ)
据付確認に使用する水準器、温湿度計、抵抗計など
ウ.運転時適格性評価
(Operational Qualification:OQ)
・設備の仕様確認に使用する温度計、圧力計、流量計など
・設備に付帯する計測器
エ.性能適格性評価
(Performance Qualification:PQ)
SOPに定められた物理量を確認する計測器など
※ ここでは一例としていますので、実際には、対象となる設備や装置によって使用する計測器が違ってきますので注意が必要です。
段階毎に合った計測器を校正して使用すること
> この事例集では、校正の定義が回答されていますが、GMP13-19(適格性評価)のQ&Aで重要なことは、適格性評価に使用する計測器はキチンと校正されたものが使用されていることだと考えます。
▼ 事例集の解釈についてもコチラからご相談していただくこともできます。
※ 当社は、フィールドでバリデーション・キャリブレーションを実施する立場から、規格の要求内容や定義を具体化(具現化)して、お客様に満足して頂ける作業をお届けする努力を続けています。
最後まで、お読みいただき有難うございました。