第634号 製剤関係者からお聞きする校正(キャリブレーション)の思考停止感について
思考停止感や危機感の要因のひとつは規制要件にあるかも?
> 最近、製薬関連の方々と校正(キャリブレーション)の現状について会話をする機会がありました。
その中で、「業界全体が思考停止状態に陥っているように感じる」というものや「業界に対して大きな危機感を持った」などと少し衝撃的な言葉をお聞きしました。
※ なぜ、このような言葉が聞かれるのか?
そのキッカケとなる要因を考えることにしました。
GMP事例集(2022版)には、2つの考え方が記載されている
> 令和4年4月28日の厚生労働省より通知されたGMP事例集(2022版)には、校正について2つの考え方が示されています。
1つ目
GMP2-6(計器の校正の定義)
[問]改正省令公布通知第3の2(25)①の「計器の校正」には、計器の示す値と真の値とに差があるときに、この差を調整することも含まれると解してよいか。
[答]「計器の校正」とは、必要とされる精度を考慮し、適切な標準器、標準試料等を用いて計器の示す値と真の値との関係を求めることをいうものであり、「調整」は含まれない。
2つ目
GMP13-19(適格性評価)
[問]バリデーション指針(5)①に「適切に校正を行った計測器を用いる」とあるが、校正とは何か。
[答]校正とは、必要とされる精度を考慮し、適切な標準器や標準試料等を用いて製造行為中に使用さ れる計測器の表す値と真の値との関係を求めることをいう。適切な標準器や標準試料とは、いわゆる国家標準器又はこれにより校正された標準器、日本薬局方に規定された標準品、公定書又は製造販売承認(届出)書の規格に適合した標準品等を指している。
※ この青字の2つの内容は、本当に似ていると思いますが、何かが違うと感じます。
校正の2つの考え方が思考停止感を生む?
> その違和感を考えるために、2つの規制要件を比べてみました。
※ このように、同じ校正の要求でありながら、「違う表現(≒)」や「表記がない(≠)」ことで“どっちにどう従えばいいの?”という迷いが生まれて、どうしても思考停止になるのではと感じました。
表記の違いを考慮して校正(キャリブレーション)を実施する!
> 2つの規制の仕方になる理由として想定できることは以下のようなことと考えます。
✔ GMP2-6で示される計器は、
工場内で使用するすべてのものになると考えられます。例えば、生産設備に使用されている計器、試験に使用する計器、分析に使用する計器と広範囲に及ぶと思います。
✔ しかし、GMP13-19で示される計器は、適格性確認の対象となる計器に限られている。
⇒ このような計器の校正する範囲の違いによって校正方法の表現に差異が生まれること考慮して現場での校正(キャリブレーション)を実施する必要があると考えます。
▼ 「校正(キャリブレーション)」についても「無料オンライン相談会」からご相談していただくこともできます。
※ 当社は、フィールドでバリデーション・キャリブレーションを実施する立場から、規格の要求内容や定義を具体化(具現化)して、お客様に満足して頂ける作業をお届けする努力を続けています。
最後まで、お読みいただき有難うございました。