圧縮空気の『品質』ってなんだろう? ~ 第641号 ~
圧縮空気の『品質』ってなんだろう?
> 最近、原薬を取り扱うお客様より設備の新設に伴い圧縮空気の品質測定の御依頼を頂きました。圧縮空気は製造過程で製品に直接または間接的に接触する可能性があるため、製品品質に影響を与える要素の一つとして圧縮空気の品質測定を重視しています。
■ そこで今回は圧縮空気の『品質』にスポットを当てて考えてみます。
規格から圧縮空気の『品質』を読み解いてみました
> 原薬GMPガイドラインでは圧縮空気の品質について管理が求められています。
■ 原薬GMPガイドライン
4 構造及び設備
4.1 設計及び建設
4.10 中間体・原薬の製造に…
・・・中略・・・
4.2 ユーティリティ
4.20 製品の品質に影響を与えるおそれのある全てのユーティリティ(例えば、蒸気、ガス、圧縮空気及び加熱・換気空調システム:HVAC)は管理規格に適合するとともに、適切にモニターされること。また、限界値を超えた場合には、必要な措置を講じること。これらのユーティリティシステムの図面は利用できるようにしておくこと。
原薬GMPのガイドラインについて(医薬発第1200号 平成13年11月2日)
圧縮空気は製品の品質に影響を与える可能性があるため、管理規格に適合し、適切にモニターすることが必要であることがわかります。
しかしここで問題になるのは原薬GMPガイドラインでは具体的な圧縮空気の『品質』を判断する基準が定めていないため、それぞれの企業で製品と製造環境に合わせて設定する必要があります。
そこで『品質』を判断する基準としてJIS B 8392-1:2012 (ISO 8573-1:2010)が参考になるのではないでしょうか。この規格には測定項目と等級が記載されております。
(ガス状汚染物質・微生物については等級規定の明記がありません)
■ JIS B 8392-1:2012 (ISO 8573-1:2010) 圧縮空気−第1部:汚染物質及び清浄等級
等級 | 粒子径 d(μm)に対応した1m3当たりの最大粒子数 | ||
---|---|---|---|
0.10 < d ≦ 0.5 | 0.5 < d ≦ 1 | 1 < d ≦ 5 | |
0 | 等級1より厳しい条件で、使用者又は納入業者が指定する。 | ||
1 | ≦ 20000 | ≦ 400 | ≦ 10 |
2 | ≦ 400000 | ≦ 6000 | ≦ 100 |
3 | 規定しない | ≦ 90000 | ≦ 1000 |
4 | 規定しない | 規定しない | ≦ 10000 |
5 | 規定しない | 規定しない | ≦ 100000 |
等級 | 質量濃度 Cp(mg/m3) | ||
6 | 0 < Cp ≦ 5 | ||
7 | 5 < Cp ≦ 10 | ||
X | Cp > 10 |
等級 | 圧力露点 ℃ |
---|---|
0 | 等級1より厳しい条件で、使用者又は納入業者が決定する。 |
1 | ≦ -70 |
2 | ≦ -40 |
3 | ≦ -20 |
4 | ≦ +3 |
5 | ≦ +7 |
6 | ≦ +10 |
等級 | 水分濃度 Cw(g/m3) |
7 | Cw ≦ 0.5 |
8 | 0.5 < Cw ≦ 5 |
9 | 5 < Cw ≦ 10 |
X | Cw > 10 |
等級 | オイル(液状オイル、オイルミスト及びオイル蒸気) 総濃度 mg/m3 |
---|---|
0 | 等級1より厳しい条件で、使用者又は納入業者が決定する。 |
1 | ≦ 0.01 |
2 | ≦ 0.1 |
3 | ≦ 1 |
4 | ≦ 5 | X | > 5 |
圧縮空気の品質は製品品質に影響を与える可能性があります
> 今回は圧縮空気の品質について原薬GMPガイドラインとJIS B 8392-1:2012 (ISO 8573-1:2010)から具体的な測定項目、等級を見てみました。
■ ここから圧縮空気に求められる品質は製品に汚染物質・油分・水分が付着しない様にするためと言うことがわかります。更にJIS B 8392-1:2012 (ISO 8573-1:2010)から製品や製造環境を考慮し基準を設定することが大切と考えます。
エヌケイエスでは多くの圧縮空気の品質測定の実績があり、測定はもちろん、測定箇所や管理基準の考え方などご提案も行っております。
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※ 当社は、フィールドでバリデーション・キャリブレーションを実施する立場から、規格の要求内容や定義を具体化(具現化)して、お客様に満足して頂ける作業をお届けする努力を続けています。
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