部屋間の差圧がなくても空気は流れる? ~ 第644号 ~
差圧があると気流ができる
> 6月に入り、日中の天気の崩れや気圧の変化が気になる季節になってきました。
ご存じの通り、天気は高気圧側から低気圧側に空気が流れます。
製薬工場などのクリーンルームでも、塵埃を含む空気から医薬品を清浄に保つため、清浄度を高くしたい部屋の室圧を、隣の区画より高く管理されることがあります(室圧管理・差圧管理)。
これは、室圧の高い方から低い方へ空気が流れる状態を維持することで、塵埃などが清浄度を高くしたい部屋に入ってこないようにしています。
各部屋の室圧を保つため、クリーンルームの扉はピッチリ閉まるものが多いのですが、出入りの際の扉の開放や開口部がある場合、差圧が(ほとんど)立たない状況もあります。
■ 私たちは差圧があれば風が流れることを知っています。しかし差圧が(ほとんど)ない場合に空気がどのように流れるのか、簡単な装置を準備して確認してみました。
差圧があると、気流が流れていることがハッキリ分かる
> 以下のような装置を準備して確認してみました。
■ みなさんご存じの通り、差圧がある状態だと、しっかり気流があることが分かります(①~③)
差圧が(ほぼ)ゼロでも気流が流れる
■ 差圧が0Paを示しても気流が生まれている(④)
■ 差圧が0Paで、さらに開口部が広がると停滞気味になるが気流は確認できる(⑤、⑥)
気流の可視化で、差圧じゃ見えない2室間の清浄度分離具合を確認できる
> 通常、製薬工場などのクリーンルームでは、製造工程で求められる清浄度ごとにゾーニング(部屋の区分け)され、室間の差圧を差圧計で測定して管理されています。
しかし、開口部を持つような場合や、出入りで扉を開けて一時的に差圧が立たない場合、差圧計の測定値はゼロを示します。そのため、清浄度の高い部屋へ隣の部屋から空気が入り込まない状態かはわかりません。
そうした場合、今回の実験のように気流を可視化することも一つの方法です。
「気流の可視化」をすることで想定外の気流(逆流など)が起きていないか、即ち清浄度の高い環境を維持できるか、を確認することができます。
▼ 「気流の可視化」についても「無料オンライン相談会」からご相談していただくこともできます。
※ 当社は、フィールドでバリデーション・キャリブレーションを実施する立場から、規格の要求内容や定義を具体化(具現化)して、お客様に満足して頂ける作業をお届けする努力を続けています。
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