製品(装置)の最終検査とバリデーション(適格性評価)の関係について ~ 第650号 ~
バリデーション込みで装置を納入して欲しい
> 当社へのお問合せには、時折、製薬関連の会社から「装置納入時にバリデーションも一緒に実施して欲しい」と言われたがどうするのが良いのかというお話を頂くことがあります。
普段は広く装置を納入しているが、バリデーションまでは実施したことはないというものになります。
※ このような工場で作った装置のバリデーション込みでの対応について、規格に準じた考え方などをご紹介したいと思います。
最終検査とバリデーション(適格性評価)は似ている?
> この最終検査は、旧版のJIS Z 8101:1981では
『完成した製品が、製品として要求事項をみたしているか判定するために行う検査』と定義されていました。
この最終検査は出荷検査という言い回しもありますが、それは企業によって、分類のしかたはまちまちなのでどちらでも同じ意味と考えます。
※ このように、最終検査/出荷検査は工場内で製品(装置)の要求事項をみたしているかどうかを検査されていることが分かります。
一方、バリデーション(適格性評価)は装置の使用場所で実施されます
> ご存知のように、バリデーション(適格性評価)は、規格の中では、次の様に要求されています。
■ GMP省令
第3 逐条解説
<第1章 総則(第1条-第3条の2)>
1.第1条(趣旨)関係
・
・
2.第2条(定義)関係
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(13)「バリデーション」とは、製造所の構造設備並びに手順、工程その他の製造管理及び品質管理の方法(以下「製造手順等」という。)が期待される結果を与えることを検証し、これを文書とすることをいうものであること。
医薬品及び医薬部外品の製造管理及び品質管理の基準に関する省令の一部改正について(薬生監麻発0428第2号令和3年4月28日)
■ この要求に対して、装置の使用場所で以下の検査が実施されます。
- バリデーション(適格性評価)
① |
受入検査 |
---|---|
② |
据付時適格性評価(Installation Qualification:IQ) |
③ |
運転時適格性評価(Operational Qualification:OQ) |
④ |
性能適格性評価(Performance Qualification:PQ) |
※ 即ち、4つの検査によって、製品(装置)が期待される結果通り(要求通り)に動くことができるかを確認されていることになります。
バリデーション(適格性評価)は装置の使用場所で最終検査を実施している!
> このように、双方とも、装置が要求通りに動いていることを検査することになり最終検査/出荷検査もバリデーション(適格性評価)も同じようなことが実施されていることが分かります。
従って、製薬関連の会社から装置納入時に要求されるバリデーション(適格性評価)は最終検査/出荷検査で実施している内容を元に、現地でしか確認できない内容なども考慮し実施すれば良いと言う考え方になります。
■ 規格の違いから作成する書類の違いはありますので、バリデーション(適格性評価)の要求に沿ったドキュメントを作成し、最終検査/出荷検査と同じような内容を実施することになります。
※ この様に考えてバリデーション(適格性評価)を進めていけば良いと考えます。
▼ 装置などの製品のバリデーションの課題についても「無料オンライン相談会」からご相談していただくこともできます。
※ 当社は、フィールドでバリデーション・キャリブレーションを実施する立場から、規格の要求内容や定義を具体化(具現化)して、お客様に満足して頂ける作業をお届けする努力を続けています。
最後まで、お読みいただき有難うございました。