構造設備のキャリブレーション作業のリスクとコストを考えます ~ 第651号 ~
キャリブレーション作業の中で、幾つかの課題に直面することがあります
> 当社は「メーカ・機種・業種」を問わないキャリブレーション(校正)業務・バリデーション支援業務の専門企業として、「新旧多種多様」と同時に「あらゆる現場」で活躍する「構造設備」のキャリブレーション作業のご依頼をいただきます。そのため、現場で課題に直面することが少なくありません。
今回は、幾つかの課題の中からセンサに係わる気になる点の一つ
「温度センサの脱着が支障になることが多い」をご紹介いたします。
先ずは温度センサのキャリブレーション(校正)のやり方から見ていきましょう。
温度計のキャリブレーションは温度センサ(感温部)の脱着がつきものです
> 構造設備にはあらゆる計測器が付帯しています。主な計測器は「温度計」であり、この温度計のキャリブレーション(校正)には、構造設備とは異なる「熱源」を使います。
そのため、温度計または温度センサを脱着する必要があります。
以下の図は温度センサを構造設備から外し、熱源である「温度キャリブレーター」に挿入した状態です。
この状態で校正ポイントまで昇温させていきます。
構造設備に据え付けられている温度センサ
構造設備から外し、熱源である「温度キャリブレータ」に挿入した状態
なお、熱源はおもに「温度キャリブレーター」を使いますが、温度センサには様々な形状があるため、お客様と打合せ、「ウォータバス」や「オイルバス」を使用することもあります。
温度センサの脱着は支障になることが多い
> さて、本題の「温度センサの脱着は支障になることが多い」とはどのようなことなのでしょうか。具体的な例を示します。
例1:クリアランス(空間)が無く温度センサの脱着が困難
下図の①をご覧ください。右側の緑色の壁と温度センサの間にクリアランス(空間)が無く、クランプを外しても対象の温度センサを引き抜くことができません。
⇒ そのため、配管回路の上流側まで配管やクランプなど多くの部品を脱着することになります。
温度センサの右側にクリアランス(空間)があれば➜青矢印のクランプだけ外して温度センサ引き抜くことができますが、右側の緑色の壁のため➜赤矢印のクランプや配管まで外して引き抜く必要があります。
作業をやりやすくすればリスクだけじゃなくコストも低減できる!
> 「作業のやりにくさ」はヒューマンエラーにつながる課題であり、破損や怪我などのリスクに大きく影響すると言えます。
今回取り上げた「例1:クリアランスが無く温度センサの脱着が困難」は、脱着点数が増えるのは間接的な作業項目が増え、同時にキャリブレーション(校正)作業前の状態に戻しにくさなどの理由から「リスク増」です。
一方で、「作業のやりやすさ」は「リスク低減」につながると考えます。
例えば、例1の解決策としては構造設備の移動(クリアランスの確保)があります。
「作業をやりやすく」することで「リスク低減」、そして長期的な「コスト削減」にもつながると考えます。
構造設備の設計~設置時にはキャリブレーションのしやすさもご検討ください
> 構造設備の「設計~設置」時の早い段階でキャリブレーション(校正)を前提としていただくのが理想です。
加えて、構造設備の再利用や定期的な保全の際にもご検討いただけると思います。
▼ 「バリデーション・キャリブレーション」についても「無料オンライン相談会」からご相談していただくこともできます。
※ 当社は、フィールドでバリデーション・キャリブレーションを実施する立場から、規格の要求内容や定義を具体化(具現化)して、お客様に満足して頂ける作業をお届けする努力を続けています。
最後まで、お読みいただき有難うございました。