あり得ない(?)微粒子数の測定値について ~ 第656号 ~
個数がマイナス!? 現場作業で不思議に感じた測定値
> あるクリーンルームでの校正作業で、 『微粒子の個数がマイナス』という不思議な測定値に遭遇しました。
微粒子を“モノ”として数えることをイメージした場合、最小値はゼロ。モノの個数がゼロより小さい状況は計算上では存在しても、実際の状況としては無いハズなので、ナンデ?と思ったのです。
クリーンルームの校正には、パーティクルカウンタが用いられます
> クリーンルームは微粒子が極力少なくなるように設備が管理・運営されていて、理想的な微粒子の個数はゼロ(全く微粒子が無い)です。
特に重要な工程では製造環境のモニタリングとして、部屋の温度や湿度の他に、空気中の微粒子の個数を測定していることがあります。
この微粒子の測定には、パーティクルカウンタが用いられます。
パーティクルカウンタ(粒子計数器)はその名の通り、“微粒子の個数を測定する”計測機器です。
マイナスが出た原因は計器の“誤差”
> 遭遇した事例では、パーティクルカウンタはアナログ信号で表示器に測定値を表示していました。その表示器を検査したところ、少しマイナス方向の誤差がありました。
ご存知の通り、計測機器はそれぞれ大なり小なりの“誤差”を持っています。誤差の程度、出方は計器により様々ですが、検出部分や表示器いずれかでマイナス方向の誤差を持っている場合、実際はゼロでも、マイナスの値が表示されます。
つまり、「パーティクルカウンタ」は“ゼロ”を出力していましたが、「表示器」の誤差のせいで『個数がマイナス』になっていました。
『微粒子の個数が』マイナスはありえない!
> 『微粒子の個数が』マイナスはありえない!
以下の図「緑のバーは測定で取りうる値の範囲」で示したのように温度や圧力にはマイナスの値があります。したがって、温度計や圧力計でマイナスの測定値が出てても特に不思議には思いません。
今回は、微粒子の個数がマイナス(個数が不足)という、実際にはありえない状況のため、不思議に感じました。
しかし、その原因を調べ理由を考えていくと、マイナスの値も計器の誤差によって表示し得るものとして『納得!』できました。
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※ 当社は、フィールドでバリデーション・キャリブレーションを実施する立場から、規格の要求内容や定義を具体化(具現化)して、お客様に満足して頂ける作業をお届けする努力を続けています。
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