異常の兆候を見逃さない(PMDA オレンジレターより) ~ 第658号 ~
品質異常の兆候見逃しもGMPで指摘されます
> GMP調査における指摘事項のうち、業界への周知が特に有用と考えられる事例について注意喚起や技術的な参考として公表されるオレンジレター(GMP指摘事例速報)には品質異常の兆候を見逃し、措置を講じていなかった事例が公表されました。
⇒ このようにリテスト日までの期間にわたって規格に適合することを保証できないリスクが存在すると報告されています。
キャリブレーション(校正)結果にも異常の兆候があります
> ここでは、計測器の誤差要因になる経年変化を取り上げたいと思います。
□ この経年変化は計測器を使い続けると必ず生じます。
計測器や測定器は、さまざまな種類の精密部品で構成されており、それらの部品は気温や湿度など、環境の変化により、わずかに膨張や縮小が見られることがあります。
こうした微少な変形の積み重ねは、経年変化として測定に影響を与え、測定結果に本来の値とは異なる「誤差」として表れます。
⇒ この経年変化からキャリブレーション(校正)結果の異常兆候を考えてみます。
毎年実施されるキャリブレーション(校正)結果の誤差グラフ
> 次のグラフは、毎年実施されるキャリブレーション(校正)結果、「誤差」の一例になります。
■ 特定の校正ポイントの誤差グラフ
※ 実際には、このような理想な曲線にならないと思いますが、この例では、誤差が経年変化などにより、だんだんと大きくなり5年後に管理上限をオーバーしています。
キャリブレーション(校正)結果から異常兆候を見逃さない!
> 計測器の誤差が管理上限をオーバーすると決められた手続きが必要になり、一般的には多くの時間が必要になってきます。そのため、異常の兆候を見逃さないことが重要になってくると考えます。
□ 経年変化による管理上限オーバーを兆候出来るか考えてみます。
4年目の結果から兆候を発見することは可能だと考えられます。
[その考え方は]
① 注目するところは、4年目のデータです。
② ここで、次の5年目の誤差を想定すると、経年変化では、5年目の誤差の大きさが3年目と4年目の誤差の差より大きいと考えられます。
③ その誤差からは、5年目には管理上限をオーバーする兆候が分かります。
※ このように、誤差データの履歴などから経年変化などによる異常の兆候を見出すことができて、措置を講ずることが出来ると考えます。
■ オレンジレターでは安定性モニタリングに関する試験結果の取扱いに関する指摘でしたが、キャリブレーション(校正)結果についても注意が必要なことが分かります。
▼ 「キャリブレーション(校正)の結果の取扱い」についても「無料オンライン相談会」からご相談していただくこともできます。
※ 当社は、フィールドでバリデーション・キャリブレーションを実施する立場から、規格の要求内容や定義を具体化(具現化)して、お客様に満足して頂ける作業をお届けする努力を続けています。
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