ループを構成する計器のキャリブレーション実施対象選定の考え方 ~ 第662号 ~
ループに接続される計器は全てキャリブレーションする?
> 皆さんの現場ではループを構成する機器はどんなものが使われていますか?
ループを構成する機器(変換器、指示調節計など)は多岐に渡っています。
■ (下図は)多くの現場で使われている温度ループの一例になります。
この温度ループの各計器は(一例として)以下のような使われ方をしています。
① 調節計は生産条件の設定をして温度表示を確認している
② 記録計の記録紙は生産が終わるとエビデンスとして保管している
③ モニタの温度は生産時常時監視している
④ 現場指示計は必要時にモニタリングしている
⇒ このように、どの計器もそれぞれ重要な使われ方をしていますので、全ての計器をキャリブレーションの必要があると考えられます。
※ しかし、実際のところ、これがベストかどうか悩むところではないでしょうか
多くの現場では計器の表示全てをキャリブレーションしている
> (当社調べでは)約5割のお客様で、温度を表示する計器全てをループキャリブレーションしているとお聞きします。
確かに、それぞれの計器の表示には重要な役割がありますので全ての計器をキャリブレーションしておけば安心できると思いますが、どうしてもコストがかかってしまいます。
※ そこで安心を維持しつつコスト面で見直せる要素がないか、考えてみることにしました。
ヒントはGMP事例集にありました
> GMP事例集(2022年版)の「問い」と「答え」が参考にできると思います。
適格性評価
GMP13-19(適格性評価)
[問]バリデーション指針(5)①に「適切に校正を行った計測器を用いる」とあるが、校正とは何か。
[答]校正とは、必要とされる精度を考慮し、適切な標準器や標準試料等を用いて製造行為中に使用される計測器の表す値と真の値との関係を求めることをいう。適切な標準器や標準試料とは、いわゆる国家標準器又はこれにより校正された標準器、日本薬局方に規定された標準品、公定書又は 製造販売承認(届出)書の規格に適合した標準品等を指している。
※ 注目するところは、(青字の)『製造行為中に使用される計測器』になると考えます。
製造行為中に使用する計測器がキャリブレーション実施対象!
> 当社の考え方としては、この製造行為中ということが当てはまる計器は『SOP(標準作業手順書)で明記された計器の表示』や『製造結果として記録している計器の表示』が該当すると考えます。
例えば、以下のような選定根拠です。
□ SOPにこの調節計の温度が100℃になったら○○を投入するというような決め事があると①の調節計の表示はキャリブレーション対象にする
□ 製造記録であれば、製造記録書に記載する値を表示する計器もキャリブレーション対象と考える
□ 現場で必要時にモニタリングする④の現場指示計はキャリブレーション対象外とする
※ このように考えた時、全ての計器の表示が対象になる場合もあると思いますが、キャリブレーション対象とする選定根拠が明確になったことで、リスクアセスメントの見直しなど、より良い対処の仕方も考えられると思います。
▼ 「キャリブレーション実施対象の課題」についても「無料オンライン相談会」からご相談していただくこともできます。
※ 当社は、フィールドでバリデーション・キャリブレーションを実施する立場から、規格の要求内容や定義を具体化(具現化)して、お客様に満足して頂ける作業をお届けする努力を続けています。
最後まで、お読みいただき有難うございました。