バリデーション業務を実現するには人に対する確認も必要なの? ~ 第663号 ~
お客様よりご相談がありました
> 先日、お客様より「バリデーション業務を実現するためには人に対する確認が必要なの?」とのご相談がありました。
バリデーション実務の中ではあらゆるものの中に「手順」が存在します。なぜならば、バリデーションとは、「製造所の構造設備並びに手順、工程その他の製造管理及び品質管理の方法が期待される効果を与えることを検証し、これを文書とすること。」であり、キチンと効果を上げるための重要な要素として「手順」を位置付けています。
一方で期待される効果を得るためには「手順」だけではなく、その手順を実施する人の役割にも注目していく必要があります。このお客様はバリデーション業務における人の大切さに注目されているからこそ悩まれているご様子でした。
GMP省令の「バリデーション計画書」には責任者についての記述があります
> GMP省令の「バリデーション計画書」には、記載する項目が規定されており、その中の一つとしてバリデーションの責任者を記載することが求められています。
GMP省令
(3)バリデーション計画書
GMP省令第13条第1項第2号及び第41条第1項第2号の規定によるバリデーションの計画に関する文書 (以下「バリデーション計画書」という。)には、次に掲げる事項のうち該当するものについて記載するものであること。
医薬品の製造業者等の製造所におけるバリデーション計画書については、バリデーションマスタープランに基づいて作成することが求められる。また、関連する複数のバリデーションを体系的かつ円滑に行うことを目的として、それら全体を 総括するプロジェクトをあらかじめ文書とすることが考慮されるものであること。
① バリデーション計画書の作成、改訂及び承認の日付
② バリデーション計画書の作成、改訂及び承認の責任者(GMP省令第20条第1項第1号又は 第48条第1号の規定による承認を行った者)の氏名並びに配付先
③ バリデーションの責任者(GMP省令第13条第1項又は第41条第1項のあらかじめ指定した者を指す。以下同じ。)その他関係する職員及び組織の業務等に関する事項
④ バリデーションを行う期間(始期及び終期の日付)
⑤ バリデーションにより検証しようとする事項(設備、装置又はシステム、製造工程、洗浄作業、試験検査の方法等)の概要(その期待される効果等)及びその検証方法(検証のため収集するデータ、そのデータの評価方法及び基準等)
⑥ その他必要な事項
■ GMP省令では、このバリデーションの責任者について、業務の内容を熟知している職員であることを求めています。
しかし、業務を遂行する「職員」についての要求は具体的に書かれていません。
現場では「職員(従事者)に求められるものとその確認するべきもの」があるのか、ないのか、迷うところではないでしょうか?
エヌケイエスでは職員(従事者)の能力基準を定めています
> エヌケイエスでは、手順に沿った業務を遂行する職員(従事者)には、その手順の内容を実施するだけの力量が必要であると考えます。
なぜならば、手順があるならば、それを遂行するための教育・訓練・評価があってはじめて期待される効果が実現できると考えるからです。
よって、エヌケイエスの適格性評価の実施計画書には「力量基準書」が入っています。
■ 実施計画書の一例
その、エヌケイエスの適格性評価の実施計画書の目次(概要)は以下の通りです。
1. 表紙 | 7. 評価作業手順書 |
2. 改訂履歴 | 8. 組織体制表 |
3. 概要[サマリー] | 9. 力量基準書 |
4. 実務基準書 | 10. 別紙「教育訓練実施記録」 |
5. 実務基準書別紙[評価作業の仕様] | 11. 逸脱時の処置基準書 |
6. 実務基準書[測定の位置] | 12. 別紙「逸脱発生/処置/処理結果報告書」 |
この中で「力量基準書」は、実務作業を実施する上で、職員(従事者)がその作業に適した力量を持ち合わせていることの確認を示しています。
エヌケイエスでは、業務を遂行する職員(従事者)の実施前の「力量基準」と実施後の「教育訓練実施記録」は、バリデーションを実現するうえで、人に対する重要な確認ポイントの一つと考えています。
▼ 「構造設備・機器の適格性評価」についても「無料オンライン相談会」からご相談していただくこともできます。
※ 当社は、フィールドでバリデーション・キャリブレーションを実施する立場から、規格の要求内容や定義を具体化(具現化)して、お客様に満足して頂ける作業をお届けする努力を続けています。
最後まで、お読みいただき有難うございました。