計器のキャリブレーションに必要なことを決める役割分担について ~ 第666号 ~
キャリブレーションに必要な項目は誰が決めるのが良いのか
> キャリブレーションには多くの決め事があるが、どんな組織で決めたら良いかを知りたい。こんなことも当社へのお問合せのひとつにあります。
■ 確かに、GMP事例集では、設備に付帯する計器に関して、以下のように多くの決め事を要求しています(重要ポイントには①~⑦の番号を付けました)。
GMP10-34(校正記録)
[問]GMP省令第10条第9号の「計器の校正」については、どの計器をどのような方法により校正すればよいのか。また、国家標準が存在する計量に係るものについては、当該標準への追跡可能性(トレーサビリティ)の確保がすべて必要なのか。
[答]以下の点を確実にすること。
1. 計器のリストを作成し、校正の必要な計器、校正方法、校正頻度等について、①計器の種類、特性、②使用目的、③使用頻度により、④製品の品質確保への悪影響に起因するリスクを勘案し、製造業者等として定め、少なくとも製品の品質に影響を及ぼしうる計器については校正を実施すること。
2. 重要な計器については、校正の状態が明らかになるように(例:次回校正実施予定年月日等を記載した⑤ラベルの貼付等)すること。校正基準に適合しない計器及び次回校正実施予定年月日を超過した計器には「使用不可」の表示等を行うこと。
3. 重要な計器が、その校正において、あらかじめ定められた標準(限界)値から逸脱していた場合には、前回校正以降に当該計器を用いて製造された製品の⑥品質への影響を評価し、判定を行い、所要の措置をとること。
4. いわゆる国家標準が存在する場合には、当該標準まで追跡することが可能な方法により校正がなされていることが必要であり、いわゆる⑦国家標準が存在しない場合には、校正の根拠について記録すること。
※ これらの決め事をキチンと決めるにはどんな組織で決めたら良いでしょうか
今回は、この問いを考えてみたいと思います。
(最初に)GMP事例集の要求を整理してみたいと思います
> 校正の必要な計器、校正方法、校正頻度等を決めるために確実にすること毎にどんな組織が良いか纏めてみました。
①計器の種類、特性
エンジニアリング
施設
②使用目的
開発部門、製造部門
③使用頻度
製造部門
④製品の品質確保への悪影響に起因するリスク
開発部門
⑤ラベルの貼付
製造部門
⑥品質への影響を評価し、判定を行い、所要の措置をとること
品質部門
⑦国家標準が存在しない場合には、校正の根拠
エンジニアリング
施設
※ このように事例集の要求を実現するには、多くの組織(メンバー)が必要なことが分かります。
製造部門及び品質部門だけで役割を分担することは難しい
> 今回の考察では、少なくとも開発部門、製造部門、品質部門、エンジニアリングのメンバーが必要なことが分かりました。
■ 製造業者等は、製造所ごとに、製造管理者の監督の下に、 製造部門及び品質部門を置かなければならない。と要求されていますので、この2つのメンバーは集めることが出来ると思いますが、事例集が求める多くの決め事を決定するには製造管理、品質管理に係る部門だけでは難しいとなります。
※ 実際には、企業全体から、エンジニアリング、施設関連とか開発部門など最適な部署、メンバーで決めていく必要があると考えます。
最適な部署やメンバーは兼務したり、外部の力も活用する
> 企業の中に、キャリブレーションに必要な項目を決める最適な部署やメンバーがいないこともあると思います。
そのような時、役割分担の一例として、以下のような体制もあると思います。
【一例】
開発部門
⇨
兼務、内部組織
製造部門
⇨
内部組織
品質部門
⇨
内部組織
エンジニアリング
施設
⇨
外部委託(NKSなど)
※ このように、それぞれの専門性をうまく組み合わせて、事例集が求める計器のキャリブレーションに必要なことを決める最適な体制を作ることもできると考えます。
▼ 「キャリブレーションの課題」についても「無料オンライン相談会」からご相談していただくこともできます。
※ 当社は、フィールドでバリデーション・キャリブレーションを実施する立場から、規格の要求内容や定義を具体化(具現化)して、お客様に満足して頂ける作業をお届けする努力を続けています。
最後まで、お読みいただき有難うございました。