寒いとせっかち・暑いとのんびり?タイマーの動作時間 ~ 第668号 ~
暑さ・寒さが設備の動作に影響することがある
> 気象庁によると2024年の1-3月は全国的に暖冬傾向らしいです。確かに日中は天候がよい日も多く暖かですが、そうはいっても1月に入ってから朝夕の冷え込みが厳しくなりつつあります。
バリデーション/クオリフィケーションが必要とされる医薬品製造の現場では空調がしっかり管理されていて、外気温度の影響をほとんど受けないことが多いと思います。
しかし圧縮空気や蒸気などのユーティリティ設備や、設備の用途によって機械室やISS(インタースティシャルスペース)と呼ばれる機械設備スペースに設置される場合、設置場所の温度が季節により大きく変化することがあります。
今回は、設置場所の温度の影響を受ける計器の事例として、設備制御に使われるタイマーを取り上げてみます。
寒いと作動時間は短くなり、暑いと長くなる(一例です)
> テストした機種では、環境温度が低い(寒い)場合は作動時間が短く、環境温度が高い(暑い)場合は作動時間が長い結果となりました。
あえて極端な環境を作りましたが、思っていた以上に作動時間の差が大きく出たと感じました。
■テストのイメージ
① タイマーを10 minに設定。
② 恒温槽を環境温度にする。
③ タイマーを作動させ、ブザーが鳴るまでの時間をストップウォッチで測定する。
■テストの結果
環境温度( ℃ ) | -10 | 5 | 20 | 35 | 50 |
---|---|---|---|---|---|
時間誤差( S ) | -5.6 | -4.7 | 0.0 | 6.2 | 11.4 |
作動時間の差はメーカ精度内でしたが、結構ギリギリです。
環境温度が-10 ℃の場合は、 -5.6 S
環境温度が 50 ℃の場合は、+11.4 S
用途に応じた機器の選択と確認が大事。定期チェックすると、より安心です
> 今回の測定結果から、設置環境の温度による影響は少なくないと思いました。
このことから、機器を選択する際は、用途上必要な精度を満たすとともに、設置場所の環境も考慮しなければいけない事を実感しました。
また、実際に設備を使用する場面では『設置場所の環境が設備の動作に影響する』ことがあるため、製品品質に影響しないことを確認しておくと良さそうです。
経年変化や部品の劣化によっても計器の動作不良や誤差に繋がる可能性がありますので、定期的に校正を行う事をお勧めします。
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