意外に悩ましい高圧蒸気滅菌器のPQ ~ 第669号 ~
高圧蒸気滅菌器のPQの進め方
> 先日、「高圧蒸気滅菌器のPQを行う際に、積載パターンと評価項目はどの様に決めればいいのか悩んでいる」とのご相談を頂きました。
高圧蒸気滅菌器は弊社にバリデーション(適格性評価)をご依頼頂く機会の多い機器の一つです。
缶体内に入れる滅菌対象の量や大きさなどは様々で、積載パターンが多い高圧蒸気滅菌器のPQの実施内容に悩まれることが多いのではないでしょうか。
そこで今回は、高圧蒸気滅菌器のPQ(性能適格性評価)の進め方の例を紹介致します。
高圧蒸気滅菌器のPQの必要性
> 缶体内に入れる器具などの滅菌状態は、そのものが持つ熱容量(昇温に必要な熱量)や、入れた(置いた)場所の温度、装置の昇温速度などの影響を受けるため、温度推移や温度分布が問題になります。
ですので、用途に適した容量や温度分布の性能を持つ設備を考慮し選定しても、滅菌対象物の量や大きさ、入れた(置いた)場所によって、どの程度の温度分布になっているかは分かりません。
この様な場合では、実際に使う状態での温度推移や、製品や器具などを置く場所が要求される温度分布になっているかの確認が必要となります。
高圧蒸気滅菌器のPQの計画
> PQでは実際に使われる状態での性能を確認し文書化することが必要になります。
まずは、負荷物がある状態を再現する必要がありますので、何を滅菌したいのかを明確にし、使用実績や使用予定から滅菌対象の種類、量を確認します。
積載パターンが多くなると作業者の負担や使用出来ない期間が増えてしまいますので、ワーストケースを想定して最大滅菌量を洗い出すことがポイントです。
次に滅菌条件や滅菌対象の種類、量、最大滅菌量からPQを実施するパターンを決めていきます。
高圧蒸気滅菌器のPQの評価項目
> 高圧蒸気滅菌器のPQで評価が求められる理由には以下のものが考えられます。
- 缶体内のどの場所でも同じ温度ではない
- 物を入れた時の熱の伝わり方
- 付属温度計の値と缶体内の温度は違う
- 負荷物があることで缶体内の温度推移は変わる
ですので、実際の設定値(温度・時間)での各場所の温度推移や滅菌対象ごとの温度上昇の遅れ具合、滅菌中の平均値・ピーク(瞬時値)などを知る必要があります。
その為、弊社では定量的なデータを取得できる、記録計やロガーを用いて検証作業を行っております。下表に評価項目をご紹介致します。
■評価項目
評価項目 | 目的・使用時の規格・基準(例) | 当社での測定方法 |
---|---|---|
保持時間 |
目的 期待される結果: |
温度記録計/ロガーを使用して測定。温度センサは防水・耐圧性を持つ専用のものを用います。 |
F値 (熱履歴) |
目的 期待される結果: |
|
温度平均値 (最大・最小) |
目的 期待される結果: |
|
温度瞬時値 (最大・最小) |
目的 期待される結果: |
高圧蒸気滅菌器のPQのお問合せ
> 弊社では多くの高圧蒸気滅菌器のPQ実績があります。
積載パターンや評価項目の考え方などでお困りの際はぜひ当社営業マンへお声がけ、またはこちらへお問合せください。
▼ 「高圧蒸気滅菌器のバリデーション」について「無料オンライン相談会」からご相談していただくこともできます。
※ 当社は、フィールドでバリデーション・キャリブレーションを実施する立場から、規格の要求内容や定義を具体化(具現化)して、お客様に満足して頂ける作業をお届けする努力を続けています。
最後まで、お読みいただき有難うございました。